貸借対照表(B/S)の読み方
公開日: 2025年11月26日 / カテゴリ: 基礎知識
企業の財務状況を読み解く「財務三表」の中で、特定の時点における企業の財政状態を示すのが貸借対照表(Balance Sheet、B/S)です。「バランスシート」の名の通り、左右が必ず一致する構造を持ち、投資家はこれから企業の安定性(安全性)を判断します。
貸借対照表の基本的な構造
貸借対照表は、「借方(左側)」と「貸方(右側)」に分けられ、以下のバランスの原則が成り立っています。
バランスの原則(恒等式)
資産 = 負債 + 純資産
これは、企業が現在持っている資産(左側)が、「どのように調達された資金(右側)」で賄われているかを示しています。
借方(左側):資産の部(Assets)
企業が保有する財産や権利を示します。「資金の使い道」とも言えます。流動性が高い順に分類されます。
| 分類 | 内容(例) | 特徴 |
|---|---|---|
| 流動資産 | 現金、売掛金、棚卸資産(商品・製品) | 1年以内に現金化できる資産 |
| 固定資産 | 土地、建物、機械、投資有価証券 | 長期にわたって使用・保有する資産 |
貸方(右側):資金調達の部
資産を調達するために、どこから資金を集めてきたかを示します。「資金の源泉」とも言えます。大きく分けて「負債」と「純資産」の二つです。
負債の部(Liabilities)
返済義務のある借金や未払金など、「他人資本」を示します。将来、企業から流出する資金です。
| 分類 | 内容(例) | 特徴 |
|---|---|---|
| 流動負債 | 買掛金、短期借入金、未払金 | 1年以内に返済期限がくる負債 |
| 固定負債 | 長期借入金、社債 | 返済期限が1年以上の長期的な負債 |
純資産の部(Equity)と安全性分析
純資産は、返済義務のない「自己資本」であり、株主からの出資や、企業がこれまでに稼いだ利益の蓄積(利益剰余金)から成り立ちます。
純資産が重要な理由
純資産が大きいほど、企業の財政基盤は安定していると言えます。株主にとって、純資産は企業が万が一解散した場合に株主に分配される残余財産の目安となり、PBR(株価純資産倍率)の計算にも使われます。
安全性分析の基本:自己資本比率
貸借対照表から企業の安全性を測る最も基本的な指標が自己資本比率です。
自己資本比率(%)= 純資産 ÷ 総資産 × 100
- この比率が高いほど、負債に依存しない安定した経営が行われていると評価されます。
- 製造業など設備投資の多い業種では、30%以上が一つの目安とされることが多いです。
- ただし、金融業など業種によっては、負債比率が高くなる傾向があるため、同業他社との比較が必須です。