投資初心者が始めるべき7つのステップと心構え
公開日: 2025年11月28日 / カテゴリ: 基礎知識
「投資を始めたい」と思ったら、感情論ではなく、知識と手順に基づいた準備が必要です。投資初心者の方が失敗せず、着実に資産形成を進めるためのステップと心構えを解説します。
最初のステップ:資金準備と口座開設
1. 生活防衛資金の確保(最優先事項)
生活に余裕がない場合、投資はすべきではありません。
投資を始める前に、まず生活費3ヶ月~1年分程度の貯蓄を確保しましょう。また、借金(住宅ローンは除く高金利なもの)がある場合は、それを先に完済することが最も確実な「最大のリターン」となります。
証券口座に入れるのは、仮に全額なくなっても致命傷にならない額に限定してください。これが、パニック売りを防ぎ、冷静な判断を保つための土台となります。
2. 証券口座の開設と選び方
株式投資を行うには、銀行口座とは別に証券口座が必要です。ネット証券であれば、手数料が安く、自宅で手軽に取引が完結します。例えば、「SBI証券」「楽天証券」「マネックス証券」ですね。
証券会社を選ぶ際は、以下のポイントをチェックしましょう。
- 手数料: 売買手数料や為替手数料が安いか。
- ネット取引の利便性: アプリやツールの使いやすさ。
- 取り扱い銘柄: 国内株だけでなく、米国株や投資信託のラインナップが豊富か。
3. 特定口座(源泉徴収あり)の利用と入金
口座開設時には、特定口座(源泉徴収あり)を選択しましょう。これにより、利益が出た際の面倒な損益計算や納税手続きを証券会社が代行してくれるため、確定申告が不要になり非常に楽です。
また、米国株を検討している場合は、為替レートをチェックし、円高など有利なタイミングで日本円を米ドルに換えておくと、ドル建てでの購入時に有利になります。
4. NISAやiDeCoの利用判断
NISAやiDeCoは税制優遇のメリットが非常に大きい制度ですが、「とりあえず始める」前に自分で仕組みを調べ、判断を下すことが重要です。
新NISA:「つみたて投資枠(年120万円)」+「成長投資枠(年240万円)」で合計年間360万円まで非課税、保有期間も無期限。「毎月少額でもいいから全世界株 or S&P500のインデックスファンドを積立購入」で、ほったらかしにした場合、歴史的には年平均6~7%で資産が増えていく確率に。ただ、損益通算できないので、損は単なる損になります。レバレッジのかかった商品や、ボラティリティの高い個別銘柄をNISAで買うの避けてください。と言いますか、ギャンブラー以外は、レバレッジ商品・信用取引は手を出す必要がありません。
投資を始める年齢によって、取れるリスクは異なります。若いうちなら、暴落で含み損を抱えても、長い時間軸(20年、30年)で巻き返すチャンスがあり、リスクを取ることが有利に働く場合が多いです。一方、高齢になると、今すぐ資金が必要になる可能性が高いため、リスクは控えめにせざるを得ません。
日々の学習と相場への心構え
5. 相場と為替レートを日々チェックする
投資はギャンブルではありません。日々相場に触れ、市場の値動きの「値幅」を認識する練習をしましょう。
- 値幅の認識: 各セクターの代表銘柄を選び、終値をメモし続けることで、その銘柄が数%動いたことが「日常的な動き」なのか「大きな動き」なのかが分かります。
- 動因の確認: 大きく動いた銘柄や指数があったら、なぜ動いたのかを必ずニュースで確認しましょう。
代表的なチェック用銘柄の例
| 市場 | 銘柄/指数 | セクター(傾向) |
|---|---|---|
| 日本株 | NI225, TOPIX, 9983(ファストリ), 7203(トヨタ), 8306(三菱UFJ), 8035(東エレ), 4502(武田), 5020(ENEOS) | 市場全体、小売、自動車、金融、ハイテク、医薬品、商社、エネルギー |
| 米株 | IXIC(ナスダック), VOO(S&P500), MSFT, AAPL, AMZN, LLY(イーライリリー), JNJ(ジョンソン・エンド・ジョンソン), ASML, GLD(金ETF) | ハイテク、ヘルスケア、半導体、コモディティ(金) |
以下は、チェック表のサンプル。
| 日付 | ni225 | 7203 | 5020 |
|---|---|---|---|
| 2025/11/4 | 51497.2 | 3155 | 989 |
| 2025/11/5 | 50212.27 | 3040 | 965 |
6. 購入と売却の判断基準を持つ
購入のタイミングは、市場が恐怖におびえてパニック売りしている時や、特定企業が好決算を出した直後などがチャンスとなり得ます。ただし、相場には以下のような格言や現象もあります。
- 落ちるナイフは掴むな: 下落している銘柄を安易に買うな。
- 頭と尻尾はくれてやれ: 最安値で買い、最高値で売ろうとせず、利益が取れたら満足せよ。
- デッド・キャット・バウンス: 大幅に下落した株価が一時的に反発すること(その後再び下落することが多い)。
- 噂で買って事実で売れ: 企業の合併や新技術開発などの「噂」が流れた時点で株価は上昇し始め、それが正式に発表された(事実となった)時点で材料が出尽くしたと判断され、逆に株価は下落に転じやすい。
- 好材料出尽くし: 企業にとって非常に良いニュース(好材料)が発表されたにもかかわらず、その後の株価が上がらなかったり、逆に下落したりすること。これは、市場がすでにその良い情報を織り込み済み(事前に噂で上がっていた)であったため、「これで上がる要素はもうない」と判断され、利益確定の売りに押される現象。
- 強気相場は、悲観の中に生まれ、懐疑の中に育ち、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えていく: 市場がどん底で皆が悲観的になっている時に買い、価格が上昇して楽観的になった時に売り、そして皆が「もっと上がる」と熱狂しきっている陶酔の頂点が売り時であり、その後に相場は反転して下落する。
- 配当の罠: 高配当利回りに惹かれて株を購入した結果、思わぬ損失を被ったり、期待した収益が得られなかったりする現象。高配当利回りの裏には、その配当を維持できない深刻な理由が隠されていることが多く、特に初心者が陥りやすい落とし穴。単純に、株価の急落によって見かけ上の配当利回りが異常に高くなっている場合も。配当利回りは5%超え、配当性向で50%超えで警戒。十数年という単位で増配し続けている会社がどうかを要チェック。
購入後にできるのは「売ること」だけです。持ち続けるかの基準を定めることが重要です。
- 損切りルール: 「購入価格から5%減ったら売る」など、機械的な損切りルールを課す。
- 購入理由の崩壊: そもそも株を買った理由(優待目当て、新製品の期待など)が崩れたら、売却を検討する。
短期トレード目的で買ったのに、価格が上がらないからと長期保有に切り替えると、損が膨らむケースや、資金が固定化され、他の有望な投資機会を逃す機会損失につながる危険性があります。
ドルコスト平均法:毎月(または毎週)決まった金額を機械的に買う「ドルコスト平均法」が、歴史的に最もリスクが低く、リターンも高いことが証明されています。 新NISAの積立設定をすれば完全に自動で実行できるので、タイミングを気にせず始められます。
良い決算の基準(米株 vs 日本株)
良い決算の基準として、米株では主に以下の3つがアナリスト予想(コンセンサス)を上回るかどうかが重視されます。
- EPS(1株当たり利益)
- 売上高(Revenue / Sales)
- ガイダンス(次期業績見通し)
この3つ全てを上回ることを「トリプルビート」と呼び、決算発表後に株価が急騰する最大の要因になりやすいです。
確認におすすめの無料サイト(即座にBeat/Missがわかる)
→ Yahoo Finance、Seeking Alpha、Zacks、TipRanks など
一方、日本株も四半期決算は義務ですが、米株のような明確な「トリプルビート」という基準はなく、むしろ以下の点が重視されます。
- 通期会社計画に対する進捗率(特に第1四半期で30%超だと超絶好決算扱い)
- QUICKやBloombergなどのコンセンサスとの比較
- ガイダンスを出さない企業もまだまだ多い
なお、小売・アパレル・外食・コンビニ・ドラッグストアなどの業種では、任意開示ながらほぼ全ての主要企業が毎月の売上速報(月次)を発表しており、これが実質的な「月次決算」として株価に影響します。
7. メディアと機関投資家の見方を理解する
株価は上下するのが普通です。特に個別銘柄では、数%の変動は日常茶飯事であり、「暴落」と騒ぐ必要がないケースも多いことを日々のチェックで知るはずです。
- メディアの情報: メディアは、株価の上げ下げの理由を後付けで語ることが多く、翌日には真逆のことを話すことさえあります。有名な投資家の予言も高確率で外れています。そのくせ、彼らにとって都合の良い下げは「暴落」と騒ぎ立てますが、その実は珍しくない「調整」であることも。結局のところ、大事なのは自分で調べて判断することです。
- 機関投資家の行動原理: 機関投資家(ファンドなど)は、大金を動かす際に納得できる明確な材料と説明責任が求められます。彼らの考え方は無視できません。ただし、彼らが手を出さない小さな銘柄こそ、個人投資家が大きなリターンを得るための「付け入る隙」となる場合もあります。投資主体別の動向がわかるサイトでは、個人、法人、海外のいずれが買っているのか、一週間おきに把握が可能です。
本や動画などでベテラン投資家の見方を知り、それを自身の判断に取り入れることは重要ですが、最終決定は必ず自己責任で行ってください。とはいえ、彼らのスタイルを知るのが容易くなったことで、以前より情報格差は少なくなり、同じ目線に到達するのにかかる時間は減ったでしょう。
「自分で調べて判断すること」を繰り返していますが、これは「この銘柄は買いですか? 売りですか?」「下がってますけど、売りですか? ガチホですか?」と投資系チャンネルで訊いてまわる人が嫌いだからです。人に判断を委ねておいて、損をしたら文句を言うので、救いようがありません。
この題材で最も際立った研究をしたのが、一九八六年に発表されたスタンレー・ロスマンとロバート・リクターによる『ザ・メディア・エリート』である。ロスマンとリクターは、二四〇人の記者ならびに主要三紙(『ニューヨーク・タイムズ』『ウォール・ストリート・ジャーナル』『ワシントン・ポスト』)の役員、報道雑誌三誌(『タイム』『ニューズウィーク』『USニューズ&ワールド・リポート』)、そして四つのテレビ局(ABC、CBS、NBC、PBS)の報道部門に対して、聞き取り取材を行った。平均すると、これらの一流国内報道記者の八五%がリベラル派で、一九六四年、一九六八年、一九七二年、そして一九七六年の国政選挙で民主党候補に投票していたことが分かった。また、共和党に投票した国内の報道記者は六%しかいなかったとする別の調査結果もある。
上の引用文は、オニールの成長株発掘法【第4版】という本の一文です。
アメリカのテレビ局と新聞社の記者を対象に調査を行ったら、85%の人が民主党を支持していたとあります。民主党を支持している人がコンテンツを制作すれば、民主党をよく見せようとする内容になり、敵対する共和党を悪く見せようとするでしょう。これが“偏り”です。
こういったバイアスを踏まえたうえで、情報を精査しなくてはいけません。とはいえ、誤報の類は避けたいでしょうから、使う情報に恣意的な加工をしてミスリードを狙うわけです。よく見るのは詐欺グラフ(比率と面積が一致しない)や、音声の切り貼り(使いたい個所だけ、文脈を無視して繋げる)など。見る価値がないと言ってしまえばそれまでですが、“何を伝えていないのか”に着目すると、相手が隠したいことに目が行くでしょう。
よくある傾向をあげると、メディアが興行主になっているスポーツ大会の問題点を、そのメディア自身が指摘することは少なく、大会の価値を高める報道に偏って当たり前。あとはまぁ、広告商売は見てもらってナンボなので、「大変だ!」と不安を煽る内容を選択しがちです。「今日も平和でした」がニュースにならない以上、彼らはオオカミ少年の宿命を背負っているようなもの。それが私の見解です。
